2006年 06月 22日
『ダ・ヴィンチ・コード』を斬る! |

今、世界中で話題の『ダ・ヴィンチ・コード』。確かに面白い!第一級のミステリーです。
ですが、その中にかかれてあるキリスト教や聖書に関する話は、本当なのでしょうか?
作者のダン・ブラウンは、「これは、キリスト教二千年の歴史を根底から覆す事実である」と言ってますが・・・。
そのダン・ブラウンの言う事実とは、「実はイエス・キリストは、マグダラのマリヤという女性と結婚していて、子供も生まれていた。
また、そもそもイエスは、神として礼拝されてはいなかった。
キリスト教会は、それを隠蔽、捏造した事実を聖書で伝えて来た。」という話です。
確かに聖書には、イエスの結婚話は書いてませんし、イエスは神だと書かれています。
だから、それが本当ならば、まさに史上最大のスキャンダルですよ!
けれども、その話の根拠を、作者はどこから持って来たのでしょうか? というと、それは、キリスト教会が「偽典」(偽物の聖書)と分類している「ピリポの福音書」という文書なんですね。
この「ピリポの福音書」が書かれたのは3世紀頃で、イエスがこの地上で過ごした時から200年以上も経った後のことでした。
一方、「正典」の新約聖書の方は、全て1世紀以内に書かれたもので、特に、イエスの生涯を伝える4つの福音書は、イエスの十字架の死後30~50年後には出来上がっていたのです。
ということは、新約聖書とは、イエスと直接会ってイエスを直に知ってる人たちが、まだまだ大勢生き残っていた時代の著作なんですね。だから、新約聖書は、イエスを直接知っていた人たちの厳しいチェックの目に晒された上で、「これぞ事実!」と認められた文書に他ならないのです。
それなのに、そんな新約聖書よりも、イエスの死後200年以上後に書かれた「ピリポの福音書」の方が真実だという理由は、いったいどこにあるのでしょうか・・・?
たとえば今、小泉首相についての伝記が書かれ、大勢の人に読まれてベスト・セラーになったとします。
ところが、今から200年後に、もう一つ、全く違った内容の小泉首相の伝記を、誰かが書いたとします。
では、皆さんは、この二つの伝記の内で、どっちが本当だって思いますか?
当然それは、「200年後の伝記」ではなくて、「今の時代に書かれた伝記」の方ではないですか? なぜなら、今の時代には、小泉さんを直接知ってる人が大勢いるからです。
しかも、「小泉チルドレン」も「抵抗勢力」も、反対賛成どっちの立場の人も生きていて、その伝記の真偽をチェックできるからですよ。
それなのに、「200年後の小泉さんの伝記」の方が本当だと主張するのと同じようなことを、ダン・ブラウンは、「イエスの伝記」についてしちゃっているんです。
もう一つ、小説では、コンスタンティヌス帝が、325年のニケーア会議において、多くの文書の中から勝手に「イエスは神だ」とする文書を選び出して、新約聖書を編纂したと言ってます。けれども実際は、ニケーア会議では、そんなことはなされていないのです。
新約聖書はむしろ、既に1世紀の内に、その大枠が決まっておりました。
イエスやその弟子たちから直接話を聞いてた1世紀の教会の人々が、どれが真実を伝えている文書であるかを、1世紀の内にもう既に、自然に選り分けていたのです。
後にキリスト教会が、それを公に事実追認して行ったのが、今の新約聖書だったのです。
だから、「新約聖書が捏造だ」という話の方が、捏造なんですよ!
人間というのは、とかくスキャンダルが大好きです。『ダ・ヴィンチ・コード』は、そういう人間の心理を巧みに突いてます。
だけど、そういうスキャンダラスな話からは、私たちは、「好奇心の満足」以外には、何も得るものがありません。
もしも皆さんが、それ以上の何かを欲しいなら、ぜひ、聖書を「聖書」として、つまり、「神様からの真実なメッセージ」として、真っ直ぐに読んでみて下さればと思います。
(牧師 津嶋理道)
by ybible63
| 2006-06-22 15:48
| ★読み物