2006年 04月 13日
教育シリーズ 第24回 |
*文章中に登場するすべての事例は、個人情報保護の関係で実在の人物そのものではありませんが、著者が取材した多くの人々からヒントを得て新たに創作したものです。
足のちりを払って 佐竹 真次
子育てにおいても仕事においても、一生懸命正しいことをやっているのに、思い通りに進まないときやよい結果がなかなか得られないことがあります。
そのような期間が長く続くと徐々にストレスがたまってきます。
ストレスがたまるとイライラして気が短くなり、人に優しくできなくなったり、人間関係がギクシャクするようになったりします。
さらには、仕事を投げ出したくなったり、いい加減に処理してしまって失敗が続いたりします。
それがさらに続くと、行動する意欲まで失われてしまう事態に至ることもあります。
そのようなときは、ストレスを上手に解消する方法が必要になります。
イエス様の弟子たちも、よき知らせである福音を伝える働きを一生懸命行っているのに、なかなかうまく進まないときもあったようです。
そんなときは思いのほかストレスをため込んだかもしれません。
イエス様はこうおっしゃいました。
「もしだれも、あなたがたを受け入れず、あなたがたのことばに耳を傾けないなら、その家またはその町を出て行くときに、あなたがたの足のちりを払い落としなさい。」(マタイ10:14)
けっこうクールな対応であると思いますが、そのような割り切りや心の切り替えは、余分なストレスを抱え込まないためにも大切なことです。
また、そうしているうちに、新たなチャンスの糸口が見つかったりすることもあります。
さらに、イエス様は弟子たちの精神保健にも気を配っていらっしゃいました。
「さて、使徒たちは、イエスのもとに集まって来て、自分たちのしたこと、教えたことを残らずイエスに報告した。そこでイエスは彼らに、『さあ、あなたがただけで、寂しい所へ行って、しばらく休みなさい。』と言われた。人々の出入りが多くて、ゆっくり食事する時間さえなかったからである。」(マルコ6:30-31)
弟子たちがストレスをため込んだら、きっとその思いを神様の前に注ぎ出して祈ったことでしょう。
現代の私たちもまったく同じことを行いますし、それは最も重要なことです。
ところで、それを補助するような意味で、もう一つのルートからのストレス解消の工夫も考えられます。
それは、リラクセーションを行うことです。
リラクセーションとは、覚醒・興奮し活動していた心身が安心して弛緩できる状態に至ることです。これによって自律神経系のバランスが回復し、心身の機能も必要に応じて柔軟に発揮できる状態になります。
なかでも最もよく知られているリラクセーションの方法の一つは「自律訓練法」(文献)です。
「自律訓練法」は身体感覚への受動的注意集中をとおして、四肢をリラックスさせることにより、脳幹部や自律神経系の機能といった生理面や、さらに自我機能といった心理面の休息と回復を促進する方法です。
① 標準練習の方法
静かな部屋で、仰向けの姿勢か椅子に座った姿勢をとり、軽く目を閉じて次のような公式(「 」内のことば)を自分の心の中で言いながら練習を進めます。
公式で言った状態が体の中に何となく感じられたらそれで結構です。
1回の時間は3~5分程度で、1日に2~3回行います。一つの段階が十分マスターできるようになって、はじめて次の段階の練習に移ります。
標準練習は背景公式と6段階の言語公式の7つの公式からなっています。
背景公式-「気持ちが落ち着いている」
第1公式(四肢重感練習)-「両腕両足が重たい」
第2公式(四肢温感練習)-「両腕両足が温かい」
第3公式(心臓調整練習)-「心臓が静かに規則正しく打っている」
第4公式(呼吸調整練習)-「とても楽に呼吸をしている」
第5公式(腹部温感練習)-「おなかが温かい」
第6公式(額部涼感練習)-「額が心地よく涼しい」
練習の消去動作
各回の練習を止めようとするときには、必ず消去動作をおこなう必要があります。
これは深い弛緩状態を解除するためです。
両手を5~6回強く握ったり開いたりします。
次に両手を握ったまま胸につけ、「前へならえ」の動作のように両腕を勢いよく前方に伸ばすと同時に両手を開く動作を3~4回行います。
つづいて両腕を真上に伸ばしながら大きく息を吸い、それから両腕を両側に開きながら息を吐く深呼吸の動作を2~3回繰り返します。
そして最後に目を開けます。
② 実施上の留意事項
たいていの場合、第2公式までのマスターで十分です。
心身症の場合には、症状が出ている器官に関係のある練習は行ってはなりません。
かえって悪化する恐れがあります。
頻脈や心臓神経症のときは「心臓調整練習」は行ってはいけません。
また気管支喘息のある場合は「呼吸調整練習」は行いません。
さらに腹部の器官に異常のある場合も「腹部温感練習」は避けます。
このことは一見矛盾しているようですが重要なことです。
また、練習が終わったあとは必ず消去動作を行います。
それをやらずに立ち上がると、体がふらついたり、頭の重いぼんやりした状態がなかなかとれなかったり、手足に力が入りにくかったりすることがあるからです。
各段階の練習をマスターするには2~3週間かかるのが普通ですが、これにはかなり個人差もあります。
自宅などで仰向け姿勢で行う場合は、体に毛布を1枚かけることをお勧めします。
そのまま寝込んで風邪をひいてしまうこともあるからです。
文献
佐々木雄二(1989):自律訓練法.日本文化科学社.
足のちりを払って 佐竹 真次
子育てにおいても仕事においても、一生懸命正しいことをやっているのに、思い通りに進まないときやよい結果がなかなか得られないことがあります。
そのような期間が長く続くと徐々にストレスがたまってきます。
ストレスがたまるとイライラして気が短くなり、人に優しくできなくなったり、人間関係がギクシャクするようになったりします。
さらには、仕事を投げ出したくなったり、いい加減に処理してしまって失敗が続いたりします。
それがさらに続くと、行動する意欲まで失われてしまう事態に至ることもあります。
そのようなときは、ストレスを上手に解消する方法が必要になります。
イエス様の弟子たちも、よき知らせである福音を伝える働きを一生懸命行っているのに、なかなかうまく進まないときもあったようです。
そんなときは思いのほかストレスをため込んだかもしれません。
イエス様はこうおっしゃいました。
「もしだれも、あなたがたを受け入れず、あなたがたのことばに耳を傾けないなら、その家またはその町を出て行くときに、あなたがたの足のちりを払い落としなさい。」(マタイ10:14)
けっこうクールな対応であると思いますが、そのような割り切りや心の切り替えは、余分なストレスを抱え込まないためにも大切なことです。
また、そうしているうちに、新たなチャンスの糸口が見つかったりすることもあります。
さらに、イエス様は弟子たちの精神保健にも気を配っていらっしゃいました。
「さて、使徒たちは、イエスのもとに集まって来て、自分たちのしたこと、教えたことを残らずイエスに報告した。そこでイエスは彼らに、『さあ、あなたがただけで、寂しい所へ行って、しばらく休みなさい。』と言われた。人々の出入りが多くて、ゆっくり食事する時間さえなかったからである。」(マルコ6:30-31)
弟子たちがストレスをため込んだら、きっとその思いを神様の前に注ぎ出して祈ったことでしょう。
現代の私たちもまったく同じことを行いますし、それは最も重要なことです。
ところで、それを補助するような意味で、もう一つのルートからのストレス解消の工夫も考えられます。
それは、リラクセーションを行うことです。
リラクセーションとは、覚醒・興奮し活動していた心身が安心して弛緩できる状態に至ることです。これによって自律神経系のバランスが回復し、心身の機能も必要に応じて柔軟に発揮できる状態になります。
なかでも最もよく知られているリラクセーションの方法の一つは「自律訓練法」(文献)です。
「自律訓練法」は身体感覚への受動的注意集中をとおして、四肢をリラックスさせることにより、脳幹部や自律神経系の機能といった生理面や、さらに自我機能といった心理面の休息と回復を促進する方法です。
① 標準練習の方法
静かな部屋で、仰向けの姿勢か椅子に座った姿勢をとり、軽く目を閉じて次のような公式(「 」内のことば)を自分の心の中で言いながら練習を進めます。
公式で言った状態が体の中に何となく感じられたらそれで結構です。
1回の時間は3~5分程度で、1日に2~3回行います。一つの段階が十分マスターできるようになって、はじめて次の段階の練習に移ります。
標準練習は背景公式と6段階の言語公式の7つの公式からなっています。
背景公式-「気持ちが落ち着いている」
第1公式(四肢重感練習)-「両腕両足が重たい」
第2公式(四肢温感練習)-「両腕両足が温かい」
第3公式(心臓調整練習)-「心臓が静かに規則正しく打っている」
第4公式(呼吸調整練習)-「とても楽に呼吸をしている」
第5公式(腹部温感練習)-「おなかが温かい」
第6公式(額部涼感練習)-「額が心地よく涼しい」
練習の消去動作
各回の練習を止めようとするときには、必ず消去動作をおこなう必要があります。
これは深い弛緩状態を解除するためです。
両手を5~6回強く握ったり開いたりします。
次に両手を握ったまま胸につけ、「前へならえ」の動作のように両腕を勢いよく前方に伸ばすと同時に両手を開く動作を3~4回行います。
つづいて両腕を真上に伸ばしながら大きく息を吸い、それから両腕を両側に開きながら息を吐く深呼吸の動作を2~3回繰り返します。
そして最後に目を開けます。
② 実施上の留意事項
たいていの場合、第2公式までのマスターで十分です。
心身症の場合には、症状が出ている器官に関係のある練習は行ってはなりません。
かえって悪化する恐れがあります。
頻脈や心臓神経症のときは「心臓調整練習」は行ってはいけません。
また気管支喘息のある場合は「呼吸調整練習」は行いません。
さらに腹部の器官に異常のある場合も「腹部温感練習」は避けます。
このことは一見矛盾しているようですが重要なことです。
また、練習が終わったあとは必ず消去動作を行います。
それをやらずに立ち上がると、体がふらついたり、頭の重いぼんやりした状態がなかなかとれなかったり、手足に力が入りにくかったりすることがあるからです。
各段階の練習をマスターするには2~3週間かかるのが普通ですが、これにはかなり個人差もあります。
自宅などで仰向け姿勢で行う場合は、体に毛布を1枚かけることをお勧めします。
そのまま寝込んで風邪をひいてしまうこともあるからです。
文献
佐々木雄二(1989):自律訓練法.日本文化科学社.
by ybible63
| 2006-04-13 09:32
| ★教育シリーズ(子育て)