他の人のことを顧みる

『自分のことだけでなく、他の人のことも顧みなさい。』　(聖書)

2月中旬、私たち夫婦は冬期休暇で横浜の方へ行ってきました。
ラッシュアワーに重なり、久しぶりに混雑した電車にも乗りました。
その時、吊り革につかまっていた私の前に座っていた青年がすっと立ち上がり、「どうぞ」と声をかけてくれたのです。
実は、それがこの私に向かって掛けられた声だと私自身気がつくのに、一瞬の遅れがあったように思います。
これまで、足を怪我して包帯をしていたときにはそのような経験がありましたが、それ以外では生まれて初めてのような気がします。
「ああ、ついに私もそういう年になったのか」と、なんだかとても複雑な気持ちにさせられたのを覚えています。

山形に帰ってきてから、祈祷会の日にその時のことを証しし何人かの人と分かち合いました。
すると、ある人が私にこう言ったのです。
「先生、それは先生が年をとったからではなく、とても疲れた様子だったからですよ！」
恐らくその人は、私と慰めるためにそう言ってくれたのでしょうが、おかしなことにその時、私は妙に納得してしまいました。
「そうだよな。だから、休暇をいただいていたのだから．．．」と、心の中で何度も自分に言い聞かせていたのです。

『若者も疲れ、たゆみ、若い男もつまずき倒れる。』　(聖書)
とあるように、若い者でも疲れているように見えることもあるでしょう。
ともあれ、私もあの青年のように自分のことだけではなく、他の人のことを顧みることができるように主にあってならせていただきたいと、思いを新たにさせられたのでした。

(主任牧師 鳥居完次)